2025年現在、ドバイは中東・アフリカ(MENA)地域における貿易・投資のハブとして確固たる地位を築き、日本企業の進出がますます活発化しています。日本とUAE間のCEPA(包括的経済連携協定)交渉が進展し、JETRO(日本貿易振興機構)による手厚い支援体制が整う中、新たなビジネスチャンスが生まれています。この記事では、日本企業の最新動向、具体的な成功事例、そしてこれから進出を目指す企業のための戦略を網羅的に解説。2030年を見据えたドバイ進出の総合ガイドとして、ぜひご活用ください。
監修者情報
本記事は、中東ビジネスコンサルタントとして10年以上の経験を持つ、高橋 智氏に監修いただきました。UAEにおける日本企業の進出・投資支援を専門とし、CEPAやJETROとの連携案件にも精通。食品、フィンテック、産業分野での豊富な戦略策定実績を有します。
ドバイ経済と日系企業進出の現状
日本とUAEは、二国間の経済関係をさらに深化させるため、2024年からCEPA(包括的経済連携協定)の交渉を本格化させています。この協定が締結されれば、関税の削減や市場アクセスの改善が期待され、日本企業にとって大きな追い風となります。また、JETROドバイ事務所は「Japan Food Export Platform」の運営や、大規模展示会「Gulfood」での日本パビリオン出展などを通じて、日本企業の現地展開を強力に後押ししています。これらの動きが、食品、サービス、スタートアップといった多様な分野での進出を加速させています。
CEPAと貿易・投資環境の変化
CEPA交渉では、関税の引き下げや投資ルールの整備、サービス分野の市場開放などが主要な議題となっています。UAEは日本にとって、アラブ諸国向け輸出の約4割を占める最重要パートナーであり、協定が成立すれば、貿易・投資は双方向でさらに活性化する見込みです。特に、日本の高品質な製品やサービスにとって、新たな巨大市場への扉が開かれることになります。
JETRO Dubaiの支援体制
JETROドバイ事務所は、日本企業の海外展開における心強い味方です。世界最大級の食品見本市「Gulfood 2025」では、過去最大規模の日本パビリオンを運営し、日本の誇る鮮魚や抹茶、果物などを世界中のバイヤーに紹介しました。また、オンラインプラットフォームを通じて、継続的な販路開拓や商談機会の創出を支援しており、多くの食品企業がこの支援を活用してドバイ市場への参入を果たしています。
日本企業の2025年ドバイ進出実績と事例
2025年、ドバイでは日本企業の活躍が際立っています。食品見本市「Gulfood」では37社以上が日本の食の魅力を発信し、技術見本市「JTED」ではAIや再生医療といった最先端分野のスタートアップが中東市場に挑戦しました。さらに、会計やM&Aアドバイザリーといった専門サービスを提供する日系企業の設立も相次いでおり、進出企業を支えるインフラが整いつつあります。
Gulfood 2025 展示事例
2025年2月に開催された「Gulfood 2025」では、JETROが主導する日本パビリオンに37社以上が出展。日本の高品質な梨や抹茶、新鮮な牡蠣やホタテといった海産物が大きな注目を集めました。現地の嗜好に合わせたプロモーションや試食会が功を奏し、多くの企業が具体的な商談へとつなげることに成功しました。
Japan Kyoto Trade Exhibition(JTED)出展スタートアップ
同じく2025年2月に開催された「JTED」では、日本の技術力をアピールするスタートアップが多数参加しました。AIサービス開発のThinkX社、再生医療技術のAvita社、先進デバイスを手がけるAdachi Electric Industry社などが代表例です。これらの企業は、UAEの投資家や現地企業とのネットワークを構築し、中東市場進出への大きな一歩を踏み出しました。
日系B2Bサービスの拡大:HLS-Global UAE
日本企業の進出が加速する中、それを支える専門サービスも拡大しています。2025年3月には、会計・M&AアドバイザリーファームのHLS-Global UAEが設立されました。法務・労務・コンプライアンスといった複雑な手続きをワンストップで支援し、日本企業がスムーズに事業を開始できるような体制を整えています。
主要業種・注力分野と進出戦略
現在のドバイ進出において、日本企業が特に力を入れているのは「食品」「テクノロジー」「専門サービス」の3分野です。それぞれの分野で、日本の強みを活かした独自の戦略が展開されています。
食品・農林水産品の輸出戦略
「高品質・安全・美味」という日本の食のブランドイメージは、ドバイでも高く評価されています。JETROの輸出プラットフォームや展示会を最大限に活用し、現地の高級レストランやスーパーマーケットへの販路を確立することが成功の鍵です。特に、抹茶、和牛、高品質な海産物などは高い需要が見込めます。
スタートアップ・テック系の注力分野
AI、ロボティクス、再生医療、クリーンエネルギーといった分野は、UAE政府も国策として推進しており、日本の先進技術が求められています。現地の投資家や政府系機関とのパートナーシップを構築し、共同で技術開発や実証実験を行うアプローチが有効です。ニッチな分野でも、世界最先端の技術であれば大きなビジネスチャンスがあります。
プロフェッショナルサービス/B2B支援
ドバイのビジネス環境は日本と大きく異なるため、会計、税務、法務といった専門知識を持つパートナーの存在が不可欠です。HLS-Global UAEのような日系の支援企業を活用することで、言語や商習慣の壁を乗り越え、コンプライアンスを遵守しながら事業運営に集中することができます。
進出にあたってのステップと注意点
ドバイへの進出を成功させるためには、計画的なステップを踏むことが重要です。市場調査から法人設立、人材確保まで、各段階で注意すべきポイントがあります。
市場リサーチと現地パートナーの選定
まずは、現地の消費者ニーズや競合の状況を徹底的にリサーチすることから始めましょう。その上で、信頼できる現地パートナーを見つけることが成功を大きく左右します。JETROや現地の商工会議所などが持つネットワークを活用し、慎重にパートナーを選定してください。
法人形態とライセンスの選択
ドバイでの法人設立には、大きく分けて「フリーゾーン」と「メインランド(LLC)」の2つの形態があります。それぞれ出資比率の制限や事業活動の範囲、税制が異なります。自社の事業内容や将来の展望に合わせ、最適な法人形態と必要なライセンスを選択する必要があります。
ビザ・人材関連の整備
駐在員や現地採用スタッフのための就労ビザ取得は、必須の手続きです。スポンサー制度や必要書類の準備など、UAE独自のルールを理解し、計画的に進める必要があります。優秀な人材を確保し、定着させるための労務管理体制を構築することも重要です。
メリット・リスク比較|総括表
ドバイ進出には大きな可能性がありますが、リスクも存在します。メリットとリスクを客観的に比較し、自社にとって最適な判断を下すことが求められます。
| メリット | リスク/課題 |
|---|---|
| 税制優遇(法人税0%または低税率) | 文化・商習慣の違いへの適応 |
| CEPAによる関税削減・市場アクセス改善 | 高い生活コスト・オフィス賃料 |
| 中東・アフリカ・欧州へのゲートウェイ | グローバル企業との厳しい競争 |
| 成長著しい新興市場での先行者利益 | 複雑な行政手続きと法規制 |
今後の見通し・展望(2025–2030年)
2025年末までにCEPAが締結される見込みであり、これを機に日本企業のドバイ進出はさらに加速するでしょう。2025年の大阪・関西万博との連携イベントなども期待され、AI、再生医療、クリーンエネルギーといった未来志向の分野での協業がますます活発化すると予測されます。2030年に向けて、ドバイは日本企業にとって、中東・アフリカ市場を攻略するための最も重要な戦略拠点となっていくことは間違いありません。
まとめ:今こそドバイ市場への第一歩を
CEPA交渉の進展とJETROによる強力な支援体制により、2025年、ドバイ進出の環境はかつてないほど整っています。食品、テクノロジー、専門サービスなどの分野では、すでに大きな成果を上げている日本企業も登場しています。ドバイ進出を検討している企業は、今こそ行動を起こすべき時です。まずは市場調査や情報収集から始め、JETROや専門の進出支援会社に相談してみてはいかがでしょうか。中東市場の扉を開き、未来の成長機会をその手に掴みましょう。