ドバイを含むUAEの公式通貨であるAED(UAEディルハム)は、旅行者やビジネス関係者にとって重要な通貨です。AEDは米ドルに固定(ペッグ)されており、為替変動が小さく非常に安定しています。補助単位filsも存在し、現金や電子決済の場面で使いやすい設計。石油に裏打ちされた豊富な準備金と堅実な金融政策により、世界的にも信頼される通貨として機能しています。安全・信頼性・利便性の3点を初めに押さえておきましょう。
UAEディルハムとは?通貨の基本情報
UAEディルハム(Arabic: درهم إماراتي、ISOコード AED)は、中央銀行(CBUAE)が発行するUAEの公式通貨です。現地ではアラビア語で「د.إ」と記され、英語では「Dh」または複数形「Dhs」と表記されます。1ディルハムは100 fils(فلس)に分かれ、硬貨には1/5/10/25/50 filsおよび1 AED硬貨があります。紙幣は5、10、20、50、100、200、500、1,000 AEDの8種類が流通し、最新の紙幣はポリマー素材が採用されています。中央銀行が発行権を持ち、為替政策や金融安定性の維持を担っています。
通貨単位と記号
AEDはISOコード、アラビア語では「د.إ」、英語では「Dh」(単数)・「Dhs」(複数形)と表記されます。1 AED=100 fils(فلس)です。現金でよく使われる硬貨は25/50 filsや1 AED硬貨であり、1〜10 fils硬貨は流通が非常に少なく、お釣り等で見かける程度です。
硬貨と紙幣の種類と流通状況
硬貨は1/5/10/25/50 filsおよび1 AEDがあり、日常の取引には25/50 filsおよび1 AED硬貨が主に使われます。1/5/10 filsは稀少で、主にコレクター向けに鋳造されているため実際にはほとんど流通していません。紙幣は5〜1,000 AEDの8種があり、特に1989年に初めて発行された200 AED札の1989年版(グリーン/ブラウン配色)は 、「限定的にしか製造されなかった」 うえ、長期間市場に出回らなかったため、現在流通しているのはごく僅かで希少紙幣として知られています。
歴史と導入経緯
UAEは1971年に建国後、各首長国が別々の通貨を使用していましたが、1973年5月19日に統一通貨としてAEDを導入しました。アブダビではそれまでバーレーン・ディナール(1ディナール=10ディルハム)を使用、他首長国ではカタール・ドバイ・リヤルが1:1の比率で交換されました。1978年にはIMFのSDRに事実上連動し、その後1997年11月に米ドルへの固定為替制度(1 USD=3.6725 AED)が正式に導入されました。この導入過程で通貨制度が安定し、統一経済圏としての基盤が形成されました。
AEDと米ドルのペッグ制度|為替安定の仕組み
1997年11月より、AEDは1 USD=3.6725 AEDの固定為替(ペッグ制度)を導入しています。この制度は主に石油価格がドル建てであることから、石油輸出に伴う為替変動リスクを軽減する目的で採用されました。米ドルへのリンクにより国際取引や観光、外国直接投資の予測可能性が高まり、ビジネスや個人への安心感を提供しています。中央銀行は米連邦準備制度と連動して金利調整を行うことで、投機的な為替圧力からAEDを保護しています。一方で、政策柔軟性が制限されるため、経済ショック時の対応力に限界がある点はデメリットとなります。
ペッグ制度のメリット・デメリット
ペッグ制度の最大のメリットは、ドル建て資源収入との整合性が高く、為替の安定性と国際取引の予見性を確保できる点です。観光客やビジネス関係者にとって為替リスクが小さく安心材料となります。一方、米国の金利に追随するしかなく、中央銀行が自国の経済状況に応じた柔軟な通貨政策を取れない制約が存在します。外部ショックやドル高局面では適応が難しくなることも懸念されます。
最新の動向:新ディルハム記号とCBDC展開
2025年3月27日、UAE中央銀行はディルハムの新しい公式シンボルを発表しました。英語の「D」に二本の水平線を重ね、UAE国旗を象徴する配色と形状が取り入れられ、金融安定性と国家の誇りを表現しています。物理的通貨とデジタル両方で使用される形で設計され、公式文書、レシート、価格表示などでの使用ガイドラインも発表されました。さらに、CBDC(デジタルディルハム)の発行に向けたインフラ整備が進められており、2025年末には一般向けに小売用デジタル通貨がローンチ予定です。これはトークン化やスマートコントラクト対応、法定通貨としての認定を含む構想です。
新しい通貨記号の意味と使用ルール
新記号はアルファベットの「D」に二本の水平線を組み合わせ、UAE旗の配色とアラビア書体のエレガントな曲線が融合されています。デジタル環境では円形で囲み、国家の継続性とセキュリティを象徴。公式には、価格表示や領収書、印刷物、財務アプリにおいて「AED」などの文字と重複せず、単独で使用することが推奨されています。
ディルハム・ステーブルコインの可能性
米ドル以外にも、TetherがAEDにペッグしたステーブルコインの構想を発表しており、アブダビのPhoenix Groupと連携して進められています。中央銀行の承認待ちで詳細は未定ですが、UAE政府の規制枠組みと整合し、将来的にはトークン化されたAEDが国際決済やブロックチェーン取引に活用される可能性があります。
旅行者・利用者向けの通貨知識
UAEへの旅行者は、現金持ち込み制限(60,000 AED超で申告義務あり)に注意が必要です。ATMや空港、銀行・両替所でAEDの現地両替が可能で、ATMではクレジットカードも広く利用できます。e‑Dirhamという政府提供の電子決済カードもあり、公的料金や一部店舗で使われています。為替換算の目安として、100 USD=約367 AEDの固定レートを覚えておくと便利です。クレジットカードはVISA/Master/Amexが使えますが、屋台や小規模店舗では現金が必要なこともあるため、現金とカードの併用が安心です。
現金持ち込み制限と申告義務
UAEに入出国する際、現金で60,000 AED(約16,300 USD)を超える持ち込みがある場合、申告が義務付けられています。事前申告フォームへの記入が必要で、未申告時には没収や罰則の対象となるため注意してください。
両替と支払い:現金・カード・電子決済
空港や市内の両替所では現金でAEDへの両替が可能でレートも比較的良好です。ATMから円やドルで引き出すこともできます。クレジットカードの普及率は高く、大型店舗では問題なく使用可能です。政府提供のe‑Dirhamカードは公共料金や一部商店で使用できます。小額決済では現金が便利なので、両替とカード利用を場面に応じて使い分けると安心です。
AEDの今後を展望:経済・技術・金融インフラ
今後のAEDは、UAE経済の多角化とデジタル金融インフラ整備によってその地位を強化する見込みです。経済は石油依存から観光、物流、テクノロジーへとシフトしており、インフレ率も低く安定しています。中央銀行主導で進められるデジタルディルハムは、トークン化・スマートコントラクト対応によって金融包摂や国際送金の効率性を高め、市場開拓における新たな機会となります。さらに、UAEは国債(T‑Bond)やスーク社債など金融市場の整備に注力しており、AED建て資産への関心も高まるでしょう。
まとめと今後のポイント
AED(UAEディルハム)は、安定した米ドルペッグ制度と豊富な準備金によって非常に安定した通貨です。旅行者や投資家には固定レートの予測可能性や現金/電子決済の柔軟性がメリットです。一方で政策の柔軟性は限定され、USD金利に依存する側面があります。2025年には新記号が導入され、デジタルディルハム構想が本格化。今後は新シンボルの定着とCBDC展開、さらなる金融インフラ進化に注目です。最新の公式情報や法律条文もぜひ併せて確認をおすすめします。