ドバイで会社を立ち上げ、グローバルなキャリアを切り拓く──。そんな大きな挑戦を前にしたとき、現地で道を切り拓いてきた先駆者の“生の声”ほど、頼りになる道しるべはありません。この記事では、ドバイで実際に会社を設立し、ビジネスを成長させている日本人起業家への独占インタビューを通じて、法人設立のリアルな手順から、税金やビザの問題、そして「最初の顧客」をどう獲得したかまでを徹底的に掘り下げます。広告では語られない、現場のリアルな成功戦略がここにあります。
目次
監修者情報
本記事は、海外での起業と人材支援を専門に取材する編集者が監修。ドバイ経済観光庁(DET)の手続きや、UAEの法人税(9%)・VAT(5%)など、記事内の制度・費用はすべて最新の一次情報に基づいて検証済みです。
インタビュー:ドバイ在住・起業家 Sさんのプロフィール
在住4年のSさん。日本のIT商社での経験を活かし、ドバイでB2Bマーケティング支援と越境ECコンサルティングの2事業を展開。法人は「フリーゾーン」に設立し、ドバイ国内外の企業と柔軟に取引できる体制を構築。従業員5名を率い、ビジネスの中心地ビジネスベイに拠点を構える。
ドバイで起業したきっかけ
- なぜ起業の場所にドバイを選んだのですか?
- 理由は3つです。英語だけで完結する手続きの多さ、ヨーロッパ・アジア・アフリカをつなぐ国際ハブとしての市場アクセス、そして税制の分かりやすさです。特に法人税は、年間利益が37.5万AED(約1,500万円)を超えるまで0%で、それを超えた分にだけ9%かかるという仕組み。これは、スタートアップ期の資金繰りにとって非常に大きなメリットだと判断しました。
- 起業前に感じていた不安や課題はありましたか?
- 現地の銀行口座をスムーズに開設できるか、そして最初の顧客をどう見つけるかという営業面が一番の不安でした。また、週末が土日になったとはいえ、ビジネス文化や時間の感覚が日本とどう違うのか、実際にやってみないと分からない部分も課題でしたね。
起業準備と立ち上げのリアルな流れ
- 会社設立はどのような手順で進めましたか?
- 私は「フリーゾーン」という経済特区で会社を設立しました。大まかな流れは、①会社名の予約、②事業内容の初期承認、③定款などの書類提出、④事業ライセンスの発行、⑤居住ビザとIDカード(EID)の取得、そして最後に⑥法人口座の開設、という順序です。これは、ドバイのどのエリアで設立するにしても基本となる流れだと思います。
- Q. 最初の顧客はどのように獲得しましたか?
- 初期は、現地の展示会(EXPO)に積極的に顔を出すことと、日本時代からのネットワークの紹介に全力を注ぎました。ドバイでは、まずWhatsApp(チャットアプリ)や対面で雑談を重ねて「関係を築く」ことが非常に重要。最初の3社は、無料のミニコンサルティングを提供し、信頼を得てから正式な契約に繋げました。
ドバイのビジネス環境と日本との違い
- 実際にビジネスをしてみて、現地の環境はどう感じますか?
- とにかく「スピード感」が違います。会社設立からライセンスの更新まで、ほとんどの手続きがオンラインで完結し、数時間で許可が下りることも珍しくありません。特にフリーゾーンのサポート窓口は対応が早く、ストレスなく事業を進められています。
- 日本とドバイのビジネス文化で、一番大きな違いは何ですか?
- 「対面での信頼関係」が何よりも重視される点です。日本ではメールでのやり取りが基本ですが、ドバイではまず会って話す、あるいは電話やチャットで直接コミュニケーションを取ることが好まれます。意思決定は速いですが、その土台には必ず人としての信頼関係が求められます。
直面した課題と、それをどう乗り越えたか
- 資金調達や人材採用で苦労した点はありますか?
- やはり法人口座の開設には骨が折れました。マネーロンダリング対策が厳しく、事業計画や取引見込みを非常に細かく説明する必要がありました。また、自社のカルチャーに合う優秀な人材を見つけるのも簡単ではありませんでした。
- それらの課題をどのように克服しましたか?
- 制度に関する問題は、とにかく政府の公式サイトなど「一次情報」に当たることが一番の近道です。税金については、法人税9%とVAT5%を前提に会計士と相談して事業計画を固め、キャッシュフローを守ることを徹底しました。口座開設は、弁護士や設立代行エージェントのサポートを受けながら、粘り強く交渉して乗り越えました。
ドバイで起業を目指す若者へのアドバイス
- ドバイで成功するために、どんなスキルや経験が役立ちますか?
- ビジネスレベルの英語力はもちろんですが、それ以上に「対面で関係を築くコミュニケーション能力」が重要です。スピード感と礼儀正しさのバランスを取りながら、相手の懐に飛び込んでいける人が強いですね。また、税金やビザのルールを自分で読み解ける会計・法務リテラシーもあると非常に役立ちます。
- 最後に、挑戦を考えている若者へメッセージをお願いします。
- 「完璧な準備」が整うのを待っていたら、チャンスを逃してしまいます。まずは信頼できる一次情報で制度を調べ、現地に来て、最初の1ヶ月で「会う・聞く・試す」を徹底的に繰り返すこと。小さく始めて、早く失敗し、早く学ぶ。それがドバイで成功するための最短距離だと私は思います。
まとめ
Sさんの体験談から見えてきたのは、ドバイ起業の成功には、税制や制度の正確な理解と、現地の文化に合わせた柔軟な営業戦略が不可欠であるということです。電子化されたスピーディーな手続きという大きなメリットを活かしつつ、「関係構築が先行する」というビジネス文化を尊重し、最初の売上を立てる。まずは、ドバイ政府の公式サイトで制度を確認し、信頼できる専門家に相談することから、あなた自身の起業ストーリーを始めてみてはいかがでしょうか。